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魅力的過ぎる『カポーティ』

普段どんでん返しとか、良くあるコメディとかそういう映画を観てると、

このカポーティのような真っ直ぐな映画を観た時の衝撃が大きい。



すごい映画だった。

一人の人物を中心にこれだけ淡々と描いてるのに、

カポーティの存在感がでかすぎる。

こんな人がホントにいたなんて信じられない。

見てて病気としか思えなかった。



『ティファニーで朝食を』は有名だから知ってるけど、

それ以外のカポーティの作品なんて知らなかった。

だけど、この映画を観て『冷血』を読んでみたくなった。

こういう人を才能がある人と言うんだろうな。

『冷血』がノンフィクションという新しいジャンルを作り出し、

大きな反響を呼ぶ。

ただ、その代償までは才能あるカポーティでもわからなかったという皮肉。

映画を観てるとそれが伝わってくる。


裕福な家族4人が2人の青年に殺される事件を書いた『冷血』。

その作品を書くためにカポーティは犯人2人と接する。

特に、その内の一人に自分を重ね、悩んでいく様が映画の中でとても細かく表現されている。

カポーティは作品を仕上げる欲のために嘘をついたりもするわけだけど、

反面、犯人との距離に悩み、自分の行動に悩み、壊れていく。

もう病気にしか見えなかった。

本当にすごい。

これを作ったスタッフも。演じた俳優たちも。

特に、カポーティを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンの存在感。

これがなかったら魅力的なカポーティにならなかったんだろうと思った。

そしてその壊れていく様を表現する一つ一つの写真のような映像と、

突き刺さるような音楽。

淡々と描いてるのにここまで感じさせるのはすごい。



パンフレットを買って読んだところ、原作はカポーティに13年もの取材をして作り上げた伝記。

その作者はカポーティととても仲良くなり、犯人の手紙もカポーティからもらったらしい。

そして、この手紙を唯一見せたのが今回の映画の脚本家なのだとか。

そのため、映画の中で出てくる手紙の文などはほぼ本物と同じらしい。

こういう細かい部分のこだわりが映画にここまで魅力を与えたんだろうと思う。

伝記を書いた作者は「2時間だけカポーティがかなり近くまで来た」と表現しているのが印象的。

「あぁ、大げさではなく本当にこういう人だったんだ…」ってただ感心してしまった。



おしゃべりで自慢ばかりして、「空気読めないな」って人なのに周りに人が集まって。

本当に才能がある人だったんだなと思った。

その才能が原因で本を書き上げてしまい、結局壊れるわけだけど。

今ではノンフィクションなんて当たり前のように出てるけど、

こうやって自分を削ってまで書いた作品があったから、今では大衆化されたんだろうな。

この映画をみると、「自分には才能がなくて良かった」と思えてしまう。

それほど力を持った映画だった。

☆5。

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