『幻夜』が『白夜行』の続編かどうか
『白夜行』の続編とかいう話を聞いたので早速読んでみた。
うーん、どうだろう。話は面白かった。最後裏切られたし。
前回同様、周りの人からの視点で話が進んでいき、
だんだんに話の全体が見えてくるところなどは読んでいて気持ちが良い。
(他の作品を読んでないけど、もしかしたら全部こういう書き方なのかな?)
ただ、今回は雅也の感情がやけに表に出てきてしまい、何だか辛くなった。
面白いんだけども、雅也が前面に出すぎかなと。
前回は、そこら辺に散らばってる無機質なストーリーが一つの塊になるような印象を受けた。
それぞれの脇役たちの話があり、それをまとめると亮司と雪穂の形が見えてくる。
そこが奇妙でもありゾクゾクするところでもあった。
でも今回は雅也の感情が他の脇役同様(と言うかそれ以上)に前面に出てくるので、
何だかゾクゾク感が半減してしまった。
亮司と雪穂の行動に予測がつかないのに対して、雅也の行動には予測がついてしまうという感じ。
まぁ、この話の主人公が美冬だけと考えると前回同様とも言えるけど。
(そう考えると今度は描写が少なすぎて物足りないとも言えるんだよね)
で、『白夜行』の続編かどうかという話だけど、
確かに続編として読むと話につながりがあって面白いかも。
作者もそういうことを言ってるみたいだし。
ただ、完璧に「続編だ」と思い込んで読むよりは「続編とも読めるな」くらいがちょうどいい。
『白夜行』できれいにまとまっていた話を覆すような感じもするし、
+αの情報源として捕らえるには不確定要素が多すぎる。
これを後付けとして『白夜行』を考えてしまうのはちょっと勿体ない。
とは言え、『白夜行』を読んだ人が『幻夜』を読んで全くの独立した話として捉えるのも難しそう。
やっぱり「続編かな」くらいがちょうど良いんじゃないかなぁと。
さて、次は『容疑者Xへの献身』を読もう。
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